ドラマ「何曜日に生まれたの」主題歌、ザ・ホリーズの「バス・ストップ」ってどんな曲?

ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネットドラマ「何曜日に生まれたの」、第6話がオンエアされましたね。衝撃の展開でクライマックスへの期待も高まります。 

 

ドラマでは度々バス停での印象的なシーンが描かれていますが、このドラマの主題歌はザ・ホリーズの「バス・ストップ」。それでは今回は、この曲はどうやって生まれたのか、ちょっと掘り下げてみましょう。 


 1962年に結成し、1963年にデビューしたザ・ホリーズですが、「バス・ストップ」は1966年にリリースされました。ロックンロールのカバーが初期のザ・ホリーズのレパートリーでしたが、バンドのアラン・クラーク、グラハム・ナッシュ、トニー・ヒックスによるチームでの曲作りも行い、64年には「We're Through」を自作曲として初めて全英チャート7位に送り込んでいます。 


 その一方、外部ソングライターの力も借りていました。そんな外部ライターの一人が、同郷マンチェスターのグレアム・グールドマンです。彼は1972年に10ccを結成し成功を収めますが、その6年前、彼が「新進気鋭の若手ライター」だったころのこと。 


 彼は10代後半からプロのバンドを渡り歩き、やがて自分のバンドでレコードデビューを果たすのですが、ヒットには恵まれませんでした。あるとき、彼が自分のバンドのデビュー曲にと提案したもののレコード会社により却下された曲、「For Your Love」ヤードバーズにより、イギリスで1位、アメリカでも6位となるヒットを記録。このヒット曲を生んだライターとして評価を得て、昼間は紳士服店で働いて、夜になるとバンドで演奏しながら曲づくり、という生活が始まり、ヒット曲を量産するようになりました。「バス・ストップ」はその中の1曲として、グレアム・グールドマンが19歳のときに作った曲なのです。 


 「バス・ストップ」のアイデアは、仕事から帰宅中のバスの車内で思いついたそうです。冒頭の詞は彼の劇作家の父親が書いたもので、寝室で残りの曲を書き、翌日紳士服店へ向かうバスの中で仕上げたのだそうです。 


 かくして誕生したザ・ホリーズ「バス・ストップ」は、1966年の6月17日(金)にリリースされると、全英シングルチャートで最高位5位、そして念願の全米チャートで最高位5位を獲得。バンドにとって初の全米TOP10ヒットとなります。他の国でも、カナダ、スウェーデンでは1位、オーストラリアで2位など、世界中のヒットチャートを席巻、ザ・ホリーズの名が世界中に広まるきっかけとなりました。日本でも人気があり、独自に日本語詞をつけたカバーがキャンディーズを筆頭に、鈴木慶一さん作詞による野田幹子さんのカバーや、荻野目洋子さんのユーロビート調のカバーなど、多々作られています。 


 実はこの曲、ザ・ホリーズと同郷で、当時ビートルズに匹敵する人気と言われていたバンド、ハーマンズ・ハーミッツも、1966年発表のアルバム『Both Sides Of Herman's Hermits』に採用しています。これは彼らがザ・ホリーズをカバーしたというわけではなく、たまたま同じタイミングでこの2つのバンドがこの1曲を取り上げた、ということ。ただ、シングルにしたのはザ・ホリーズで、これを世界中でヒットさせたことで、「バス・ストップ」はザ・ホリーズの曲、というのが一般化したのでしょう。同じ曲をライバル関係のバンドが同時に取り上げるなんて、現代だったら珍事ですが、かつてはそれほど珍しいことでもなかったようです。 


 ということで、今回はザ・ホリーズの「バス・ストップ」の成り立ちをちょっとだけ振り返ってみました。これをきっかけに60年代のブリティッシュ・ロック・シーンも合わせて聴いてみると、とても楽しいですよ! 


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