エリック・クラプトン【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.21】

祝!来日決定! 
クラプトン・イズ・ゴッド。 


<F's GARDEN -Handle With Care- 第21回:野中なのか>


もし神様が目の前に現れて「お前の人生とエリック・クラプトンの人生と交換できるけど、どうする?」と聞かれたらすぐに断ります。

だって滅茶苦茶しんどそう。キツそうだから。


と、言うのもちょっと前にクラプトンの半生を描いたドキュメンタリー映画『エリック・クラプトン~12小節の人生~』が上映されて見に行ったのですが(『ボヘミアン・ラプソディ』と期間が被っちゃってなかなか話題にならず。。泣)全然幸せそうじゃ無いんですよ。


若くして地位・名声・女・カネ、全部手に入れたと思うのですが、満たされて無いんですよね。二十歳そこそこでロンドンの街中に「クラプトンは神様です!」なんて落書きされるほどのスゴいギタリストなのに。なんでなんだろ。


映画『エリック・クラプトン~12小節の人生~』予告編


そもそも人生的に音楽以外のトラブルが多過ぎるんですよね。


いや、若い頃はヤードバーズというバンドで頭角を現して、ジョン・メイオール先輩(白人ブルースの吉田松陰的ポジション)のバンドで一気にブレイクして、ジミヘンやデュアン・オールマンに刺激を受けつつ、自らのブルース道を突き進む的な流れなのですが、成功した途端、小さい頃、母親に愛されなかったというトラウマが顔を出しちゃって、大親友の奥さんを好きになっちゃうわ、酒とドラッグでろくにギターも弾けなくなっちゃうわ、もう滅茶苦茶。


「ギタリストとしてスゴいのは分かるんですが、なんかしんどそう」って感じで進みます。


いや、そもそもこの人のキャリア自体、自分自身のブルースを探す旅のようなもので、一つの音楽スタイルを作っては壊しての繰り返しの為、いまいち捉えどころが難しいところもあるかと思うのですよ。

極端に言えばファン同士でもそれぞれ全くイメージの違う「クラプトン像」を持っているのでは無いかと。

ですので、映画を観たあと、自分自身の「クラプトン像」を確立すべく、ほぼ全キャリアのアルバムを聴き直しました。


メンバーが対等に3ピースのバンドの可能性を最大限に追求したクリーム時代の

「クリームの素晴らしき世界(1968)」


アメリカに渡ってブルースの本質と叶わぬ恋への思いをぶつけた

「いとしのレイラ(1970)」


ソロとして再出発しヒットした

「461 オーシャン・ブールヴァード(1974)」


様々なトラブルを乗り越えて世界中にアンプラグドブームを巻き起こした

「アンプラグド〜アコースティック・クラプトン(1992)」


当時の最先端のテクノロジーを駆使し打ち込みを多用した

「ピルグリム (1998)」


などなど、、、。

「どれも味わい深くて良いやんけ。」と思うのですが、「この1枚だけ選ぶ」となるとどこかしっくり来ず、、。

なんて考えていたら、あったのです。しっくりくるのが、ワーナーさんから出てました。


『CLAPTON CHRONICLES:THE BEST OF ERIC CLAPTON』


いえい。1999年に出たベスト盤です。


「おいおい、ベスト盤かよ」と思うかも知れませんが、通して聴くと非常にバランス良いアルバムだという事がわかると思います。


笑っちゃうくらいのAORで聴きやすい1曲目の新曲「ブルー・アイズ・ブルー」で「ついにクラプトンもここまで来たか、、」と思っても良し。


Eric Clapton - Blue Eyes Blue


いきなり2曲目にくる「チェンジ・ザ・ワールド」で「やっぱり超名曲!王道あなどれない!」と唸っても良し。

3曲目の「マイ・ファーザーズ・アイズ」で打ち込みのリズムとスティーブ・ガッドのドラムに酔いしれても良し。

4曲目の「ティアーズ・イン・ヘヴン」でやっぱり涙して、、、

5曲目はスウィングしてるアンプラグド版の「いとしのレイラ」


「ああ、ベタでいい。 クラプトンはベタでいい。」

と感じさせるような曲順です。 


この間口の広さがいい。だからこそ単にスゴいギタリストの枠に囚われず、ここまで支持をされたのだと思います。(ま、歌が歌えたというのもあるかと思いますが)


「もっとブリブリのギターがクラプトンの本質なんだよ!」って方は8曲目の「ビフォー・ユー・アキューズ・ミー」を聴いていただき、、

それでも満足しない方は2006年に出たボーナスディスクにライブテイク多めのスペシャル・エディションを聴いて貰えれば文句なしだと思います。


『Japan Tour 2006 Limited Edition Chronicles & Special Bonus Selection』


クラプトンのライブテイクってハマった時は最高なんですよね。


「躍動感に溢れて、スタジオテイクよりも数段良い曲もあるもんな〜」なんて考えてたら、来日公演が決まったではありませんか!


それも春に武道館5デイズ!これまた贅沢に会場を押さえましたね。

無事に終わればこれで武道館は通算96公演、1974年の初来日から200公演以上も日本でコンサートを演ってるんですね。ということはトータルで1年くらいは日本に居るって事か、、、。

もう神様のホームステイですね。ありがたや。

音楽が心底好きなギターの上手いしんどそうな神様。 

神様に出会えた人生で良かったです。 



野中 なのか 

 コンサート業界勤務です。 

 誰か友達になってください。 


Warner Music Life

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