道島塾長の”VIVA! 80's” -vol.29- /トミー・リピューマ(3)
道島です。
発売から1週間、サウンドスキャンのジャズ・チャートやAmazonのフュージョン・チャートで1位を獲得するなど、トミー・リピューマ・ワークスが好調でございます。
奥様のジルさんは、この作品を大変にお喜びになっております。そして、来週の3月13日はトミーさんの命日です。
さて、私がワーナーミュージックに入社したのは92年で、トミー・リピューマさんとお会いすることはできませんでした。今週はレーベル・マネージャーだった当時、トミーさんと親交があり、現在はフリー・プロデューサーとしてご活躍中の青野浩史さんから、トミーさんとのエピソードや人柄をお聞きしました。
・・・トミーさんはいつGRPにいらしたんですか?
GRPを94年にデイヴ・グルーシンとラリー・ローゼンが去る際に、誰が引き継ぐかって話になったんです。ある日リー・リトナーから僕に電話があって、後任はトミー・リピューマだって聞いて驚いたんですよ。日本では、MCAビクターが当時GRPを扱っていました。
・・・トミーさんとの最初の出会いは?
トミーさんが、ダイアナ・クラールのプレゼンテーションで日本に来た、95,96年ですね。僕はあまり記憶がないんですけど、その時が初めての出会いのはずなんです。僕の記憶に残っているのは、その時に一緒にブルーノートに行ったんです。なんで覚えているかというと、トミーさんはワインが好きじゃないですか。私もワインを少しかじってたので、いろいろ教えてもらったんです。こんな時、1時間ちょっとのショーですから、僕らグラスで一杯くらいしか頼まないけど、トミーさんはワインリストを見て、一本頼むわけですよ。本当にワイン好きな人はこういう風に頼むのかって思いましたね。そのインパクトがあって覚えてるんですが、昼間のプレゼンは覚えてないんですよね(笑)
・・・人間的な印象は?
人間的にはとてもソフトな人で、ビジネスマンって感じじゃないんですよ。音楽家っぽくて、ラリー・ローゼンとは違う印象でしたね。当時はすごくダイアナ・クラールの勢いがあったので、すごくプッシュしてましたよね
・・・他に思い出はありますか?
次の来日は2001年、ユニバーサル・ミュージックとして、旧ポリグラムとMCAビクターが一緒になった時ですね。それぞれのレーベルにジャズ部門があったので、ジャズ・コンベンションをやろうという話になって、ダイアナ・クラールもマイケル・ブレッカーも来てくれたし、新しいユニバーサル・ミュージックのジャズ部門のお披露目みたいなものをしようとして、そこにトミーさんが来てくれましたね。
また、ワインの話になってしまうんですが、ダイアナもマイケルもいたんで、トミーさん主催のディナーをやったんです。某ホテルのレストランで、シャトー・ラトゥールという一番高級なボルドーのワインを開けたんですよ。そしたらトミーさんがテイスティングして、これはブショネ(劣化したワイン)じゃないか、青野もテイスティングしてみろって言って、これはよくないって怒っちゃて、結局変えてもらいましたね(笑)
・・・ご自宅にもお邪魔されたとか?
ニューヨークに出張に行ったときはお気に入りのイタリアン・レストランに連れて行ってもらって、食事のあとにマンハッタンのパーク・アヴェニューに面したマンションにお邪魔しました。トミーさんはコネチカットにもお家があると思います。そのマンハッタンのご自宅で、またワインの話なんですが(笑)、シャトー・ディケム(最高の貴腐ワイン)もご馳走になったんです。そのマンションは絵画がすごいんですよ。美術館みたいでしたよ
お互いワイン好きということで、意気投合されたお二人。青野さんによれば、とにかくトミーさんは魅力的な方だったそうです。高級なワインの開け方からも、クオリティへの強いこだわりが感じられます。ぜひ一度、私もお会いして、一杯ワインをご一緒しかかったものです。来週の3月13日はトミーさんの命日となります。
このアナログとCDは青野さんが所蔵している、Blue Thumbレーベルのサンプラー・アナログとCD。
トミーさんがBlue Thumbレーベルを再興させる際に、制作されたもの。
トミーさんはBlue Thumbレーベルに大変思い入れがあったようだ。
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