a-ha、来日公演&来日記念盤リリース直前の2/7に母国ノルウェーのトロンハイムで行われた最新ライヴを最速レポート!!
1985年に、a-haがノルウェー出身のミュージシャンとして初の全米ナンバー1を獲得した「テイク・オン・ミー」。スケッチ調のアニメーションと実写を組み合わせたMVはあまりに有名で35年経ってもパロディが後を絶ちません。その「テイク・オン・ミー」を含むa-haのファースト・アルバム『ハンティング・ハイ・アンド・ロウ』は他にも「シャイン・オン・TV」「ストレンジャー・トレイン」「ハンティング・ハイ・アンド・ロウ」のシングルカット曲をはじめ、名曲しか入っていない、ザ・名盤です。
その名盤を全曲演奏してしまおうという、記念ツアーが昨年から始まっています。
3月の来日公演は福岡・東京のチケットは既にソールドアウト、大阪・名古屋は僅か…そこで、すでにチケット入手済みの方にも、悩んでいる方にも、2月7日ノルウェーはトロンハイムでの最新ライヴの模様をお伝えいたします。
あ、最近「往年のスター」がファンの力でライブハウス来日をしたりしていますが、a-haは普通にワールド・ツアーの一環での来日ですので、お間違えなく。ここ、大事です。
2月7日金曜日のトロンハイム・スペクトラムは、昨年改装が完了した、コンサート時には12000人収容の多目的アリーナです。トロンハイムはオスロから飛行機で1時間ほどのところにある、古くに栄えた港町。いかにも北欧らしいカラフルな建物が水辺に並び、情緒のある静かな街です。
そんな街に、地元の音楽ファン・a-haファンに加え、世界中からファンが集まりました(海外公演のチケットはオンラインで買えるのでわりとどこの国にも海外のファンが集まります)。
自然豊かな環境にあるトロンハイム・スペクトラムは、年齢は子供・ティーンから、お年寄りまで、そして若干男性の方が多いかな?というくらいのオーディエンスで一杯でした。
デビュー当時はポップな音楽性とメンバーのキュートさもあり女子中高生のアイドル的な人気がすごかった三人。しかし、本来の楽曲の良さ・芸術性の高さに加えて、世界のトップに立つという意志をもって努力し、家庭や社会問題にも関わり、ヨーロッパから南米まで世界中で大スターであるにも関わらず派手な生活はせず人間くさい彼らは、男性ファンには、こんな風になりたいというロールモデルにもなっているようです。素敵なおじさま方が昔のツアーTシャツで参戦している姿はほほえましいことこの上ない。
年齢を重ねても、自然体でかっこよくあり続けているa-haだから、もちろん女性ファンも減りません。むしろ、彼らの子供たちより年下の女性ファンも増え続けているのもさすがです。
さて、「あの」スケッチ調のアニメーションで幕を開けたコンサートは、なんと1曲目が「テイク・オン・ミー」。いきなり盛り上がります! 他の曲よく知らないんだけど…という方もご安心ください。とにかく名曲揃いのアルバムなのです。ポップな曲、渋い曲、大合唱で盛り上がるバラード、ギターのカッティングがかっこいい疾走感あふれるロック、聴きほれてしまう切ないメロディ……。
第一部が、あっという間に終わってしまって、アルバム全曲を把握しているはずなのに、びっくりです。
ネタバレしたくないのですが、アルバムは持っているよという方も、出来たら『ハンティング・ハイ・アンド・ロウ エクスパンデッド・エディション』を聴いておくと、ステージをさらに楽しめます。解説・歌詞・訳詞もついている日本盤がおススメです。
ここで20分の休憩時間を挟み、第二部へ。
みずみずしさ溢れたファースト・アルバム『ハンティング・ハイ・アンド・ロウ』の後、さらに名曲が怒涛のように繰り出されます。
オルガンとギターがへヴィに絡むサイケデリック・ロック「シカモア・リーヴス」(ギターのポールとキーボードのマグネはa-haの前にドアーズの影響が強いバンドをやっていました)、リフが気持ちよいロック・ナンバー「アナログ」など、どれもこれもいい曲!伊達に世界中で現役バンドとして(懐メロバンドではなく)人気があるわけではありません。
去年還暦を迎えたとは思えないモートンのヴォーカルも高音の美しさだけでなく、深み・渋味も増し、バラード「ステイ・オン・ディーズ・ロード」に聴きほれていると、勝手に涙が流れてきました…。
過去の名曲だけでなく、新曲もあります。インターネット・SNS時代について軽やかに歌う「デジタル・リヴァー」です。楽曲にあわせて、携帯電話・スマホの灯りをともし、会場内は光の河ならぬ海になります。日本でもコレ出来るといいな。
場内大合唱のアンセム・ナンバー、007のテーマ曲「リビング・デイライツ」で最高に盛り上がり、彼らがステージを去った後は、時間が過ぎるのが早すぎてあっけにとられました。
a-haのコンサートの魅力は、まず、音の良さ。モートンのヴォーカルが美しく響き渡ると、思わず目を閉じてうっとりしてしまいます(モートン・ファンの方は目を閉じていられないですね・笑)。そしてバックバンドも含めて安定感抜群の演奏。アコースティックからロックまで様々なスタイルの楽曲が完璧に披露されます。リズム隊の二人は少年時代からa-haのファンで憧れの対象と一緒にプレイ出来ている幸せパワーもプラスされています。
そして、シンプルながらよく創りこまれたステージ演出。今回のセットそのものは驚くほど簡素ですが、背景のスクリーン映像はさりげなく最新技術を駆使したもので、人工的な部分と大自然の素材が絶妙に編集され、ステージの三人と合成される、そのさじ加減が、a-haの音楽性にぴったりです。こんなステージ・セットにしたので会場の規模に関わらずその国にあわせたステージのワールド・ツアーが可能になったのかもしれません。
テクノロジーも、人間のアナログな技術も、どっちも大事。そして、音楽ありき。このバランス感、今迄色々なコンサートを観て来ましたが、トップレベルなのは間違いありません。コンサートが終わって心に残る、いいもの観させてもらったなーという深みと充実感…これはポピュラー音楽というジャンルにおいての、ひとつの到達点に達しているとすら思えます。30年前からこの三人はタダモノではない!と信じてどこまでも追いかけて来た(=ハンティング・ハイ・アンド・ロウ)私ですが、まさか、こんなにすごいバンドになるとは…と、今は驚嘆を隠せません。楽曲の良さだけに留まらず、多方面に魅力的で、老若男女問わず・国や文化の垣根も超えて人の心をがっちり掴む……彼らはいったいどこに行くのか…10年前に某誌に「a-haは大人のロック」と書いた記憶がありますが、実は彼らはある意味究極のアイドルなのでは…。
少し難しいことを書いてしまいましたが、去年還暦を迎えたモートンをはじめ、ポールもマグネも、若い頃とは違う「大人の男」のかっこよさ・魅力があるので、往年の女性ファンの方も安心してください。誰も『残念なおじさん』になっていませんよ(笑)
きっと彼らも楽しみにしている10年ぶりの来日公演。この素晴らしいツアーで来日してくれるなんて感謝しかありません。迷っている方は是非!
(日本でも屈指の音響の良いホール・大阪フェスティバルホールのチケットが、まだ少しだけあるらしいんです…旅行ついでに美味しいモノを食べて心もお腹も満腹になるなんて最高だと思います…)
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