追悼:アフロ・ビートのレジェンド、トニー・アレン
フェラ・クティとともにアフロ・ビートの創始者として幅広くリスペクトを集めるナイジェリア出身のドラマー、トニー・アレンが現地時間4月30日木曜日、パリで息を引き取ったとのニュースが入ってきました。享年79歳。
1960年代から70年代にかけ、フェラ・クティのバンド、アフリカ‘70で音楽監督を務め、そのサウンドを支えていた彼は、80年代にはいると自身のバンド、トニー・アレン・アンド・ザ・アフロ・メッセンジャーズで活躍。またセッション・ミュージシャンとして、さらにはThe Good, The Band And The QueenやRocketjuice and the Moonのメンバーとしてデーモン・アルバーンやポール・シムノン、フリーやジェフ・ミルズらと共演するなど、精力的に活動を行っていました。
今年3月に南アフリカを代表するジャズ・トランぺッター、ヒュー・マセケラとのコラボレーション・アルバム『REJOICE』。2018年1月にこの世を去ったマセケラにとって死後初めてリリースされた本作は、奇しくもトニー・アレン最期のアルバムとなってしまいました。
フェラ・クティとの繋がりをきっかけに、1970年代に出会ったヒュー・マセケラとトニー・アレン。それ以来、二人は何十年にも亘り、一緒にアルバムを作れないかと話していたそうです。そして2010年、UKでのツアー・スケジュールが重なった時、二人はこれを絶好の機会ととらえ、プロデューサーのニック・ゴールド(World Circuit Labelの創始者でもある)とともにレコーディングに取り掛かりました。この時レコーディングされた音源は、2018年にマセケラが亡くなるまで、長い間保管されたままになっていましたが、その音源をトニー・アレンとニック・ゴールドが発掘し、オリジナルのレコーディングが行われた同じロンドンのスタジオで2019年夏、アルバムとして完成させました。アルバムには、アレンとマセケラの他、トム・ハーバート(Acoustic Ladyland / The Invisible)、ジョー・アーモン=ジョーンズ(Ezra Collective)、ムタレ・チャシ(Kokoroko)、スティーヴ・ウィリアムソンといった、ジャズやアフロビート・シーンで活躍する新世代のミュージシャンたちが参加しています。
結果的に長い時間を経てようやく完成したアルバムについて、アレンはこう語っているそうです。
「アルバムを一から完成させるのに、10年はとても長い時間だ。だが、何事も適切なタイミングで、何かの理由をもって現れる・・・そういう哲学を私は持っている」
Tony Allen & Hugh Masekela - Never (Lagos Never Gonna Be The Same)
南アフリカを代表するジャズ・トランぺッター、ヒュー・マセケラと、アフロビートの創始者、トニー・アレン。二人のレジェンドが遺したアルバムを聴きながら、二人の偉大なるミュージシャンを偲びながら、ご冥福をお祈りしたいと思います。
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