道島塾長の”VIVA! 80's” -vol.43- /プリンス(前編)

道島です。久々ではございますが、今回と次回は、1985年にプロモーション用に企画され、500枚のみLP盤としてプレスされた幻のコンピレーション・アルバム『ヒズ・マジェスティズ・ポップ・ライフ~ザ・パープル・ミックス・クラブ』を取り上げます。プリンス&ザ・レヴォリューション期のシングル曲のリミックスを中心にコンパイルされている作品で、2019年のレコード・ストア・デイで、LP盤として限定2,000枚で復刻したが、今回遂に日本盤のみのCDリリースが決定し、本日7月8日に発売となりました。このアルバムを企画した人物の名前はアートワークにはない。またブックレットにその説明もない。今回は、このアルバムの謎に迫るべく、このアルバムを企画した、当時のプリンスの日本のディレクター、佐藤淳氏にお話をお伺いした。


道島:昨年LPがレコード・ストア・デイで、世界中で出るという話を聞いてどうおもわれました?また手に取った時の思いはいかがでした?

佐藤:元々プロモーション専用で編成したDJコピーなので、とても驚きました。もう時効だと思うので白状すると、当時プロモ盤の選曲、ジャケットはいちいちワーナーブラザーズの許可を得ていなかったし。隠し事が後年大々的に暴露されたみたいな気持ち。あくまでお仕事の一環だけど、この疚しさは何?みたいな。盤を実際に見たときは、そうだな、忘れてた旧友?

道島:昨年、プリンスの財団にアナログとしてリリースすることを許したのだから、日本でこれはぜひCD化させてほしいと、リクエスト出しました。ほぼ一年がかりでOKがでました。予約が凄い数なのですが、どうおもわれますか?

佐藤:本社交渉ご苦労様でした。ファンの方はプロモ盤の存在を当時から知っていたようなので、正当な金額で買っていただけるのはとりあえず良きことと思います。「予約が好調」は、レコードマン時代の名残のよっしゃあ感(笑)。

道島:さて謎が多い、このアルバムですが、僕は今回の帯のキャッチで「裏ベスト」と呼んでいますが、当時どういうコンセプトで選曲されたのでしょう?ブックレットにはCompiled By Masaharu Yoshiokaとありますが、リミックスの選曲など、大まかな方向性は佐藤さんによるものですよね?

佐藤:当時プリンスに限らずDJコピーはいろいろなアーティストで各担当作っていました。FMでの特集狙いと歴史を振り返る「そこまでのヒット集」が主力。エクステンデッドヴァージョンを集めたDJコピーが他にあったかは覚えてないです。プリンスのみならずエクステンデッドバージョンの12インチシングルはどんどん本社から送られて来るので、宝の持ちぐされと思い、何とか世間に知らしめる方法はないものかと考えた結果だと思います。12インチシングルをそのままの形で日本盤リリースすることは、当時させて貰えなかったので。

道島:プロモ-ション盤ですので、プロモーション的な意味があって作られたはずです。その目的はなんだったのでしょう?ラジオ用ではないですよね?ラジオではリミックスをかけにくいと思うのです。メディアへの意識付けだったのでしょうか?初来日は1986年9月なので、来日のプロモーションでもないですよね?

佐藤:シングルがヒットして何度もラジオでかけて頂くと、有難いことに「別ヴァージョンは無いのか?」というお問合せを頂くことがあったし、ディスコでの取り上げも期待したかと。プリンスの凄さを音で意識付けしたい、はご指摘の通りです。   


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