オーティス・レディングの 「(Sitting On) The Dock Of The Bay」について知られていない5つの事実
先月、オーティス・レディングの代表曲「(Sitting On) The Dock Of The Bay)のリリース50周年を祝い、来月にはこのシングルのビルボード1位になって50周年となる記念すべき月になるのだが、そんな歴史的2大イベントの合間にもみなさんを楽しませるべく、この名曲についてあまり知られていないかもしれない5つのことをご紹介します。また、みなさんがお聞き逃しになっているかもしれないいくつかのカバーもちりばめてみた。
(1)レディングはバーケイズとのツアー中に歌詞を書き始めた。
1967年8月、カリフォルニア州ソーサリート。
レディングは、映画『スパイ・ライク・アス』でのダン・アクロイドとチェヴィー・チェイスと話していた。80年代の子供たちによく知られたバンド、ザ・バーケイズとのツアーの最中だった。
アクロイド「(遠くで聞こえる音楽に気づいて)ザ・バーケイズの”Soul Finger“だ!」
チェイス「これじゃ仕事もらうのに苦労してるだろうな」
ツアーの途中、レディングは友人のアール・“スピード”・シムズが所有するウォルドー・ポイントのハウスボートでのんびりした夕べを楽しんだ。そのとき、インスピレーションの閃きを受けたのを感じた。たちまちレディングは新曲の第1ヴァースとなる歌詞を走り書きをしていた。その曲は、当時は簡単に「Dock of the Bay」と呼ばれていた。ツアー中、彼はさらにあちこち歌詞を追加し、最終的にさまざまな歌詞をギタリストのスティーヴ・クロッパーに見せ、クロッパーが歌詞を完成させ、それに合わせる楽曲も書き上げたのだった。
トム・ジョーンズ&スティーヴ・クーパー
(2)歌の最後の口笛は、一瞬空白状態になったレディングがとっさに取った行動だった。
おそらく、表向きにはそう言うのがいちばん適切かもしれない。実のところ、クロッパーによるとレディングは「ちょっとしたフェードアウトのラップをアドリブでやるつもりで」取り組んでいたものの、いざその段階になった途端、頭が真っ白になってしまった。「だから口笛を吹き始めたんだ」とクロッパーは言う。そしてその結果が、曲の中でも傑出した、一度聞いたら忘れられない瞬間となったのだった。
ボブ・ディラン
(3)亡くなるときまでずっと、レディングは歌が完成していないと思っていた。
レディングは 「(Sitting On)The Dock Of The Bay」が自分の音楽的地盤を拡大するためのきっかけになるように、できることなら観客層も広げるためのきっかけになるように「ちょっと違うもの」にしたい、と妻のゼルダに語っていた。
なので、彼はもっとしっくりくる音になるようにしたいと思っていたのだが、サウンドをもっとポップ指向に持っていくと決め、曲にザ・ステイプル・シンガーズのバックグラウンド・ボーカルを加えるというアイデア(もちろん実現しなかったし、たんなる噂話に過ぎなかったようだ)を考えていたとされ、スタックス・レコードの上層部を心配させた。二度のレコーディング・セッションでこの歌に取り組んだが、レディングはなおも更なるトライをするつもりだった。が……結果はご存知の通りだ。
ペギー・リー
(4)カモメと砕ける波の音はレディングの死後に加えられたが、どちらも彼にインスパイアされたものだった。
もしあなたが効果音などの追加を嫌い、そういったもの無しで歌がどんなふうに聞こえるかを知りたいなら、レディングのコンピレーション・アルバム『REMEMBER ME』に収録された曲の初期バージョンを聞いてみよう。
でも、その効果音がレディングの見守るところで加えられていないからといって否定するのは、実はそれは少し事情が違う。
2017年の『ローリング・ストーン』誌のこの曲の制作についての記事によると、その音が持ち込まれたのは初期のレコーディング段階でレディングが「カモメの声を出そうとしていたんだけど、死にかけたカラスみたいに聞こえた」と言っていたことをクロッパーがよく覚えていたからなのだった。それにインスピレーションを得たクロッパーは地元のジングル会社を訪ね、ひとつのトラックにカモメのループ、もうひとつのトラックに波音を録音。それを曲の中でふさわしいと思えるところに加えていったのだった。
T.レックス
(5)ビルボード・ホット100で死後にNo.1ヒットを記録したのはこの曲が初めてだった。
レディングが自分の大成功を見ることなく亡くなったのはロック史における最大の悲劇のひとつと考えられているが、大した慰めにはならないが、彼は突然の逝去の結果ひとつの記録を作っている。他のアーティストによる死後のナンバーワン・ヒットなら山のようにあるが、「(Sitting On) The Dock Of The Bay」はその一番最初の曲なのだ。
パール・ジャム
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【オーティス・レッディング オフィシャルページ】
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