ダニー・ハサウェイ「ライブ」【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.5】
音楽業界ブログリレー「F's GARDEN -Handle With Care-」 「やまやま」さんからバトンを受け継いだ「SOULBROTHER NO.2」です。 ブラック・ミュージックを中心に、“温故知新”をテーマに様々なアーティスト作品を、紹介していきたいと思います。
<F's GARDEN -Handle With Care- 第五回:SOULBROTHER NO.2>
『ライブ盤の原点』
これまで、当たり前のようにリリースされてきたライブ・アルバムの原点はJB(ジェイムス・ブラウン)。自身のライブ・パフォーマンスに圧倒的な自信を持っていたJBはライブの実況盤を作品化するというアイデアを思いつくが、レーベルからの了解を得ることが出来ず、結局、自費でのリリースに踏み切る。1963年5月にリリースされたN.Yアポロ・シアターでのライブ実況盤は、最高位全米2位、66週に渡りチャートインするという爆発的なヒットを記録!以降、数多くのライブ・アルバムがリリースされることとなった。
JBに続き、サム・クック、ジャッキー・ウィルソンやアイク&ティナ・ターナー等、当時人気を誇ったアーティスト達が、次々と素晴らしい内容のライブ盤をリリースし、音楽シーンに定着化していく。
『究極のライブ盤』
数ある名盤と称されるライブ盤の中でも、いつの時代も、支持される究極のライブ盤と言えば、やはり、今回、紹介させていただく ダニー・ハサウェイ「ライブ」になるでしょう !
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‘72にリリースされた本作は、ダニーにとって3作目となる作品。 ベトナム戦争や、公民権運動等に代表される不安定な状況だった60年代後半を経て、70年代に入り、時代は新しいムーヴメントを欲していた。
そんな時代に呼応するように、新しい感覚のサウンドとメッセージ性を持った作風が支持され、“ニュー・ソウル”と呼ばれたムーヴメントの牽引者が、まさにダニー・ハサウェイだった。
※ニュー・ソウルの代表的なアーティストはマーヴィン・ゲイ、スティーヴィ―・ワンダー、カーティス・メイフィールド等。
まずは、オープニングのマーヴィン・ゲイの大ヒット曲“What's Going On”の素晴らしいカバー・ヴァージョンをお聴きください。
ダニー自身が奏でる美しいエレピの音色に導かれ、フィル・アップチャーチの心地良くもグルーヴィーなギターが入り、ウィリー・ウィークスならではのベースライン等による演奏は、永遠に続いて欲しいと感じる程に素晴らしい。もちろん、胸に刺さるスピリチュアルなダニーの歌声も、何度、聴いても色褪せることのない、永遠の時間を感じさせてくれる。
続く2曲目では、オーディエンスが手拍子を始め、会場が完全にゴスペル教会と化し、演奏側とオーディエンスが完全に一体化し、異常な熱気に包まれていく・・・これぞライブ盤の醍後味!
このライブ盤のポイントは、録音された会場が小さなライヴハウスという事にある。 演奏者と客の距離が近く、ライヴならではの臨場感がヒシヒシと伝わってくる。 全8曲の収録会場と、パーソネルを理解しておくことも、このライブ盤を何度も味わい楽しむ上で重要なポイント。
レコードでいうとA面(①~④)が、1971年8月28日と29日にハリウッドのトルバドールで行われたライブから選曲され、B面(⑤~⑧)は10月27日から29日にニューヨークのビター・エンドで行われたライブからの選曲となっている。
※ギタリストはA面(①~④)がフィル・アップチャーチ、B面(⑤~⑧)がコーネル・デュプリー。
そう、カーティス・メイフィールドの素晴らしいライブ盤“カーティス・ライブ”もビター・エンドでの収録でしたね。
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本当に、素晴らしいライブ盤なので、全曲、紹介したいところですが・・・最後に、アルバムの収録された、このまま終わって欲しくないと心の底から思わせてくれる演奏
“VOICE INSIDE(EVERYTHIN G IS EVERYTHING)”を聞いてください!
今後も、様々なテーマ・切り口で、素晴らしい音楽をお伝え出来ればと思います!
【収録曲】
01. What's Going On
02. The Ghetto
03. Hey Girl
04. You've Got A Friend
05. Little Ghetto Boy
06. We're Still Friends
07. Jealous Guy
08. Voices Inside (Everything is Everything)
①~④(レコードだとA面)までがロサンゼルスのトルパドール、
⑤~⑧(レコードだとB面)がニューヨークのビター・エンドでの音源。
☆参加メンバー
・ Donny Hathaway – vocals, electric piano, piano, organ, arrangements
・ Phil Upchurch – lead guitar on side one
・ Cornell Dupree – lead guitar, backing vocals on side two
・ Mike Howard – guitar, backing vocals
・ Willie Weeks – bass, backing vocal
・ Fred White – drums, backing vocals
・ Earl DeRouen – conga drums, backing vocals
出生名:ダニー・エドワード・ハサウェイ
生年月日:1945年10月1日
出身地:アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ
ジャンル:シカゴ・ソウル, R&B 職業:歌手, ソングライター, アレンジャー
担当楽器:ヴォーカル, ピアノ/キーボード
活動期間:1969~1979
SOULBROTHER NO.2
某チェーンの音楽屋店長。無類のブラック・ミュージック好き。
また、フットボール(サッカー)をこよなく愛する・・・ワールド・カップが待ち遠しい!
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