ザ・ポーグス【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.7】
音楽業界ブログリレー「F's GARDEN -Handle With Care-」
T-Kawaさん、ライティングお疲れ様でした!
DAILY HOWL → DJ GON → 野中なのか → やまやま → SOULBROTHER NO.2 → T-Kawa 1巡しましたね。
早くも2巡目、気負わずいきますー
<F's GARDEN -Handle With Care- 第七回:DAILY HOWL>
[ ザ・ポーグス「ダーティ・オールド・タウン」から想起する、DAILY HOWL格言 ]
でっちあげられた世界の中で
まれに愛を感じる瞬間がある
それを信じるようにしている
かなり穿った見かたかもですが、特にエンターテイメントの世界では色んな事がでっちあげられた事に感じて心が疲れてしまう時があります。嘘をどんどん積み重ねていって誠にしていくというか、でもスターなんて本来夢を売る商売なんだからそんなのは当たり前で、それはそうつまりは…。おっと、誰か来たのでこれ以上は書きませんが、とにかくそんな風に思う事があります。
でもそんな中でも“愛”とでも言えばよいのか、心からの気持ちに触れたように思えた時に僕は感情を揺さぶられます。そういった理由から僕はザ・ポーグスが好きです。ボーカルのシェイン・マガウアンの嘘のつけない歌は馬鹿みたいに真っすぐにやさぐれていて、それでいて優しくて、僕は曲を聴くたびいつも少し気が大きくなったり、切なくてたまらなくなったりします。
ザ・ポーグスのアイリッシュ・トラッドにパンクの要素をブチ込んだ独自の音楽性は未だに多くのフォロワーや、同じ系譜に属するアーティストを生んでいます(FLOGGING MOLLYやTHE CHERRY COKE$など)。また反骨精神のある人間からのリスペクト率も高いままです。例えば2017年の竹原ピストルのアルバムPEACE OUTに「マスター、ポーグスかけてくれ」という曲がありますが、これなんかもう例え聴かずとも曲名だけで沁みます。ポーグスをかけてくれるマスターがいる店にいて、ポーグスが聴きたい気持ちになっているというシチュエーション。こういうのいいですねほんとに。
で、僕が1番好きなポーグスの曲が「ダーティ・オールド・タウン」。
この曲にある郷愁。ザ・ポーグスの演奏から、ボーカルのシェイン・マガウアンの歌から、故郷アイルランドへ抱く静かで深い想いが伝わってきます。年を重ねるほどにこの曲が染みます。
だいぶ個人的な話ですが、僕は生まれ育った千葉のクソ田舎な港町に住んでいた時期より、いつのまにか東京に住んでいる期間の方がだいぶ長くなりました。子供の頃に転々としたいくつかの家は今では無くなってしまったり他人のものになってしまったりで、親父も旅立ってしまったし帰省するにしてもそれは育った場所とは違うところになりました。別段実家に帰りたいという気があるわけではないけれど、子供の頃に見ていた様々な原風景は今も瞼の裏に色濃く焼き付いていて、寂れてなんだか遠くなってしまったように感じる故郷の事をふと思い出す時、僕はいつもこの「ダーティ・オールド・タウン」が脳内に流れ、沢山の思い出が次から次へとフラッシュバックしてきます。井上陽水の「少年時代」を聴いた時に感じる夏のノスタルジーのような感覚と言えばわかりやすいでしょうか。
と、ここまで書いてきましたが正直ザ・ポーグスの魅力は膨大過ぎて全てを語りつくせないのが悔しいところ。例えばバンドの最大のヒット曲であり言わば代名詞なのがコレ、「ニューヨークの夢(Fairytale of New York)」。
発売時は全英2位。今でも毎年クリスマスシーズンになると色んなところで耳にするスタンダードナンバーになりました。こういう素敵なクリスマスソングもあればパンキッシュな曲、アイルランド音楽を堪能出来る曲、あるいはシェイン・マガウアンのビックリするような行動など様々な側面がザ・ポーグスにはあります。
安酒を呑みながらザ・ポーグスに擦り切れた心を傾ければ、時に情けなく思える人生でもちょっとばかり輝くように見えるかも知れません。
今回はアルバム「ラム酒、愛、そして鞭の響き」収録の「ダーティ・オールド・タウン」に焦点を当ててご紹介させて頂きましたが、少しでも興味を持って頂けたなら他の曲も色々と探ってみてください。
それでは皆様、ポーグ・マホーン!
発売中
¥1,429+税/WPCR-14032
■おまけ■
「ジョジョの奇妙な冒険」から紐解く洋楽入門
ガオン(空間を削り取る音)
F’s GARDENブログ第三回で野中なのかさんが「ザ・バンド」を紹介していたので今回はコレ。
第4部「ダイヤモンドは砕けない」から
虹村億泰(にじむらおくやす)
スタンド「ザ・ハンド」の使い手
自身の頭が悪いため物事の判断をなんでも兄・虹村形兆(にじむらけいちょう)に委ね、自分で考える事が苦手で面倒くさいと感じる事からか、あるいは不治の病に侵されてしまった父親との現実を消し去りたいと感じたからなのか、虹村億泰にはとてつもなく恐ろしいチート能力が宿った。スタンド「ザ・ハンド」は右手で触れた空間をすべて削り取る事が出来るというもの。スピードこそないが防御不能、修復不可能、削り取られたものが何処へ行くのかは億泰本人にもわからないという能力。
スタンド名の元ネタはザ・バンドだが、まさか「バ」の濁点がガオンされて「ハ」になって手の能力になっちゃうなんて発想が思いつくだろうか?凄すぎる…。おそらくバンド名のネーミングから名づけられたと推測されるが、あえて音楽性にも結び付けるとするならザ・バンドが元々バックバンド出身であった事から億泰も第4部主人公の東方仗助を支える腕の確かな相棒ポジションとして、時には物語を進めていく際の重要な役割を担う存在として描かれたのではないかと、そんなふうにも深読み出来るかも知れません。
DAILY HOWL
ただのジョン・レノン好き
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