ピアノ&ア・マイクロフォン 1983 リリース記念 リレー・インタビュー、今回はプリンス研究家、TUNAさんの続編となります。

■■■初期の本人のインタビューを読むと、プリンスが7歳の頃、家を出ていったジャズ・ピアニストのお父さんの残していったピアノを弾き始めたとありますが、お父さんの影響は非常に強いと思いますか?

TUNAさん:お父さまが活動していたときのバンド名を自分に名付けられたのですからそれは色んなことを期待されたり背負っていたのかもしれませんね。

実際にアルバム『Around The World In A Day』に収録されている「Around The World In A Day」と「The Ladder」や『Parade』の

「Christopher Tracy's Parade」などを共作したりもしていますしね。

ちなみにお父さまが作られた楽曲を映画Under The Cherry Moonにも使用していましたね。

父子としては色々あったかもしれませんがアーティストとしては影響は受けていると思いますね。

■■■初期の本人のインタビューを読むと、お父さんの才能をほめちぎってますし、映画でも人間性はともかく、才能あるピアニストと描かれています。

プリンスはお父さんにどのような思いを持っていたとおもいますか?

TUNAさん:お父さまの言う通り結婚は止めておけばよかったと思っているかもしれませんね。なんて冗談はさておき、

家庭環境の問題から音楽に傾倒するプリンスにとってはステージで輝いていたであろうお父さまは憧れの存在だったのかもしれません。

そういう姿を小さいときに目に焼き付けていたからこそ自分がデビューする前も、してからも苦労したことを実感してお父さまを尊敬していたのかもしれませんね。


■■■関係者のインタビューで読んだのですが、プリンスはもっとジャズっぽい音楽をやりたかったんではないかという意見がありますが、どう思いますか?

TUNAさん:個人的にはプリンスはプリンスというブランドやイメージを大切にしていたと思っています。

彼の溢れる素晴らしい才能により閃いたり思いついたらすぐにレコーディングをして作品として残していたと思われます。

ただ、曲調によって自分のアルバムに採用するか、他のアーティストに提供したりしていたので、彼のアルバムには少ないと思うのかもしれません。

ただ、マイルス・デイビスをペイズリーパークに呼んで競演したり一緒に曲を作ったりしていました。

(そういえばマイルスがプリンスに贈ったイラストが額装されてペイズリーパークの2階に飾られていたのを見ました!)

ジャズっぽい音楽は多くないですが、1987年にはマッドハウス名義で2枚のアルバムがペイズリーパークレーベルから発売されています。

彼はクレジットされていませんが、このプロジェクトに関わって彼なりのジャズを表現していたのではないかと思っています。

(これを機にぜひ聴いたことない方たちのために再発を希望します!)


■■■なぜ、ピアノ&ア・マイクロフォン・ツアーを最後にやったんだとおもいますか?

TUNAさん:私はいまでもこれが最後のツアーだと思っていません。

本当はもっと先のことまで考えていてその志半ばだという感じがします。

なぜこのツアーを実施したのかについて、色々と憶測はありますが……

個人的にはサードアイガールのドラマー、ハンナさんが懐妊したので産休の間に自分一人でできることと考えて実施したのではないかと思っていました。

その証拠にバンドメンバー入れ替えたり新たにバンド組んだりしていませんから。

復帰したらまた彼女たちと一緒に続きを魅せてくれると思っていただけに非常に残念です。


■■■今回リリースされる作品、ピアノ&ア・マイクロフォン1983の聴きどころはどんなとこにあると思いますか?

TUNAさん:この作品は当時本人が住んでいた通称「パープルハウス」の1階のスタジオにてレコーディングされたものです。

(ペイズリーパークから車で10分足らずのライリー湖畔に建っていた2階建て。

門扉にはハートマークとピースマークがあり壁が紫一色の建物を目の当たりにして興奮したことを記憶しています。)

そのスタジオの反対側にはプリンスのベッドルームがあったので、それこそ目が覚めて思い立ってすぐに録音したかのようなプライベート感を覚えます。

先の質問でも回答しましたが、彼が自分のブランドを大切にしているのであれば完成した作品しか披露しないと思いますので、

そういう意味でもこのセッションを我々が聴けること自体が貴重なことで全てが聴きどころだと思います。

その上でもレコーディングの時期が1983年であるにも関わらず1987年のアルバム、『サイン・オブ・ザ・タイムス』に収録されるまで陽の目をみなかったStrange Relationshipという楽曲があります。

この曲のアイデアはこの頃固まっても自分のコンセプトにあうアルバムに収めるまでいくつものアルバムを経てきたと思うと改めて彼の戦略やこだわありである一面が垣間見えます。

また、下記の4曲は初めて聴く方も多いと思われます。

  • Mary Don't You Weep
  • Wednesday
  • Cold Coffee & Cocaine
  • Why The Butterflies

こんな素晴らしい曲がいままでお蔵入りだったなんて信じられませんね。

1曲でも多くのプリンス作品を享受できることは嬉しいのですが、こういう形でないと耳にできないかと思うと悲しくもあり複雑な感じもしてしまいます……

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