デフトーンズ【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.10】

こんにちは、やまやまです。 

突然ですが、みなさんは友人に自分の好きな音楽ジャンルを薦める時、どんなアーティストを薦めますか? 

僕が普段メタルを聞かない人にメタルを薦める時(別名布教活動)、良くありがちなのが


王道J-POP好き→BON JOVIやAEROSMITHなどの聴きやすいハードロック

ヒップホップ好き→KORNやLINKIN PARKなどの重いギターにラップが乗ってたりリズムがヒップホップテイストのもの

ゲーム好き→RHAPSODYやDRAGONFORCEなどのメロスピ(メロディックスピードメタルの略です)


こんな感じで「実はあなたたちの聴いてる音楽と近いでしょ?」アピールで相手の懐に入り、メタルの深い闇の世界に引きずり込もうとしています。

ヒップホップとメタル、これは今日本にミクスチャーロックのバンドがいろいろと出てきているので、相性の良さは実証済みですよね。

ゲーム好きとメロスピ、一見全然関係ないように思われるかも知れませんが、僕の知り合いのゲーマー何人かにここら辺のメタルを薦めると勝率10割でメタル好きになりました。彼ら曰く「ゲーム音楽の勇壮感と通じるものがある!」との事。確かにここら辺のアーティストのアルバムはドラゴンがジャケットに載ってる率が高いからなあ。

逆に王道J-POP好きは最初の印象はいいのですが入り口から先がなかなか進まず、勝率はかなり悪いです。


これらはあくまで自分の回りの例なので一概にこれやというのは中々あてはまりませんが。


さて、前置きが長くなりましたが、今から紹介するデフトーンズは自分の回りの非メタルで特に普段から洋楽を嗜む友人2名がメタルを聴くきっかけになり、僕もこのバンドのおかげで今まで聴いてこなかったジャンルの音楽やバンドに出会えた恩人のようなバンドです。


<F's GARDEN -Handle With Care- 第十回:やまやま>


音は明らかにメタルなのに非メタルな方からも評価が高いバンド


デフトーンズは1995年アルバム「アドレナリン」でデビューしたオルタナティヴ・メタル(ウィキペディアに書いてありました)バンドです。今で言うところのニューメタルに音は近いですが当時はそんな言葉はありませんでした。



アメリカではデビューアルバムから人気でしたが当時インターネットなどまったく興味がなく、新しい音楽の情報は友人、雑誌、CDショップ、TVKの洋楽PVを垂れ流す番組という僕は気づくはずもなく、このバンドを知ったのは次作、「アラウンド・ザ・ファー」収録の「ビー・クワイエット・アンド・ドライヴ(ファー・アウェイ)」のPVを偶然TVKで見てからで、見た目明らかに厳つい楽器隊が演奏する重い音にボーカルのチノ・モレノの暑苦しそうなのに涼しげなボーカル、反復するリフなのになぜかメロディアスなボーカルラインに「かっこええ!!」「何じゃこりゃ?」となり、次の日にはもうCDを買っていました。


「アラウンド・ザ・ファー」



「アラウンド・ザ・ファー」の1曲目、「マイ・オウン・サマー(シャヴ・イット)」。明らかにメタルな音色のリフからチノ・モレノの独特なささやくようなボーカルが乗り、途中でシャウトに変わり、またサビになると戻る、字面だけ見ると抑揚のないように感じるかも知れませんが聴いてみると何とも言えない中毒性のある曲です。  


2曲目の「ラビア」も曲のスピードは違えど曲の組み立てかたは同じです。そんな曲が10曲続くのでかなり聴き手を選ぶアルバムではありますが、当時の僕は何かを覚えた猿のようにこのアルバムばかり聴いてました。


ただ、当時はデフトーンズのインタビュー記事などあまりなく、なぜこの音になったかなどの謎は(あくまで僕の中の話ですが)残ったまま、ただただ「かっこええ!」と繰り返し聴いてました。 

そんなある日、非メタルな友人に聴かせたところ、「このボーカル、ビョークっぽくない?」と言ってきました。 

よくよく聴いてみるとクリーンなトーンの歌い回しがソロデビューしたころのビョークに似てなくもないのです。 


その友人は普段は当時深夜にフジテレビで放送していたBEAT UKを録画しメタル以外を片っ端からチェックしていたのですがデフトーンズはノーマークだったらしく、うちからCDを持って行き、その日以来普段は聴かないメタルを漁るようになりました。 

後日談ですが、その彼その後デスメタルにはまり、今では僕よりメタルが詳しくなりました。


 好きなバンドが出来るとそのバンドの全ての音源を聴きたくなるのは音楽好きとしてよくある行動ですが、デフトーンズに関してはまだこの頃は日本での知名度がまだあまりなく、CDショップへ行っても「アラウンド・ザ・ファー」、「アドレナリン」の2枚だけしか置いていない店がほとんど、偶然寄った怪しいCDショップでレアトラック集を見つけました。俗に言うブートレッグというやつでね。

この中身は「アドレナリン」収録曲のアウトテイク、映画のサウンドトラックに提供されたトラックとともにカバー楽曲が何曲か収録されていました。カバーしているアーティストはメタル系もSlayerやSepurturaなどあるにはあるのですが、The SmithやDuran Duran、Depeche modeなどの80年代のニューウェーブに属するバンドの楽曲が多数収録されていました。

メタルバンドのカバーは大体70年代のハードロックバンドやグラムロックバンド、パンクバンドのメタルアレンジかハードコアバンドのスラッシュアレンジと相場が決まっている時代、このチョイスはかなり珍しく、このいかがわしいアルバムをきっかけにデフトーンズのルーツにも僕は触れるようになりました。Duran Duranは世代でかなりテレビにも出演していたから多少は知っていましたが、The SmithやDepech Modeなどはメタルばかり聴いていると絶対に出てこないバンドなので、逆に新鮮で、ここからDepeche ModeやThe Smithなどにもはまり、ジャンルで好き嫌いをしないようになりました。この経験は今の仕事にとても役に立っています。

まあ、このブログでブートレッグを紹介するわけにもいかないので(汗)、これらが入っているアルバムを紹介します。


「Bサイズ&レア・トラックス」



2006年に発売された「オフィシャルの」レアトラック集です。

The Smithの「プリーズ・プリーズ・プリーズ・レット・ミー・ゲット・ワット・アイ・ウォント」、Duran Duranの「ザ・ショーファー」から、シャーデーの「ノー・オーディナリー・ラヴ」、レイナードスキナードの「シンプル・マン」、JAWBOXの「セイヴァリー」などなどバンドの懐の深さと選曲チョイスのよさが際立つ楽曲が収録されていますが、特筆すべきは全て原曲のよさを損なわずにデフトーンズの楽曲になっているところです。

The Smithの「プリーズ・プリーズ・プリーズ・レット・ミー・ゲット・ワット・アイ・ウォント」、原曲はディストーションのかけらもないジョニー・マーのクリーンなギターともモリッシーの儚げなボーカルだけで構成されている曲ですが、デフトーンズのバージョンはドラムもベースも入って彼らの曲になっています。かといって完全に壊しにかかっているかといわれるとそうではなく、チノ・モレノのボーカルは抑揚を抑えたモリッシーっぽさを出しているし、途中のギターソロもメロディーは踏襲しています。 

他の楽曲もいいので是非聴いてみてください。


さて、もう一人の友人ですがThe Smith、STONE ROSESから洋楽に入り、その頃はRADIOHEADにどっぷりはまっていた、ベタなUKロック好きです。1人目の友達と違うところはメタル的なもの(むさくるしいルックス、暑苦しい世界観)が嫌いというところでした。要はメタル嫌いですね。

 その友人に名前を伏せてデフトーンズの「プリーズ・プリーズ・プリーズ・レット・ミー・ゲット・ワット・アイ・ウォント」を聴かせたところ、「何これ?かっこいい!!誰がやってるの?」となり、デフトーンズの写真を見せたところ最初はかなりの拒絶反応を見せましたが、畳み掛けるように「ビー・クワイエット・アンド・ドライヴ(ファー・アウェイ)」のPVを見せると「見た目と違って意外と爽やか」との感想を残し、やはりうちにあった「アラウンド・ザ・ファー」のCDを持って帰りました。 その後、メタルはやはりむさくるしいから苦手といいつつ、SlipknotやKornまでは聴けるようになっています。


こんな非メタルな方々を虜にするデフトーンズ、もし聴いたことがないのなら、是非この夏の1枚にいかがでしょう。 あなたの知らない音楽の扉を開いてくれるはずです!! 



やまやま 

 とある音楽配信の会社の中で編成や営業などの仕事をしてます。 

 中学の頃にメタルに出会ってからまさかこの年まで聴いてるとは思いませんでした。 

 このブログでちょっとでも普段聴かない音楽に興味を持ったり、昔聴いてた音楽を思い出すなんて事があれば嬉しいです。 

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