【フォーエヴァー・ヤング】第四弾作品群からお勧めALを紹介!ルー・リード『NEW YORK』
絶賛発売中の第四弾作品群から、各アーティストのお勧めのアルバムをピックアップ!
今回は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのフロントマンであるルー・リードのソロ作品『NEW YORK』を紹介します!
その知性と革新性で全ロック界のカリスマで在り続ける男、ルー・リード。本作は彼のSire移籍第一弾のアルバムであり、ソロ通算19作目。自身のルーツである「ニューヨーク」を生々しいサウンドと喚情的な歌詞で表現し、非常に高い評価を受けました。アルバムはグラミー賞へノミネートされ、モダン・ロック・チャートでNo.1に輝いた「ダーティ・ブルヴァード (原題: Dirty Blvd.) 」などが収録されています。
📺Dirty Blvd.
アルバムが発表されたのは、1989年の1月。当時のアメリカでは、政権が変わり、長年続く不況や、ニューヨークではHIVが蔓延するなど、様々な社会問題が浮き彫りとなっていました。こうした世相を色濃く反映しながら、ルー・リードが愛する街を舞台に、アルバムは多様な社会でひたむきに生きる人たちを主人公に、ニューヨークの光と影を描写しています。 オープニングを飾る「ロミオ・ハド・ジュリエット (原題: Romeo Had Juliette) 」は、マンハッタンに舞台を移したシェイクスピアによる悲劇。不安定な社会の様子を凝縮して描写されています。3曲目の「ダーティ・ブルヴァード」は、ヒスパニック系と思われるペドロという名前の子供が簡易宿泊所からの脱出を夢見る物語。8曲目の「バスいっぱいの運命 (原題: Busload of Faith) 」では、シニカルな楽観主義とも言える物の見方で現状を嘆いた一曲。
📺Romeo Had Juliette
📺Busload of Faith
社会への危機感が、小説のようなストーリー性を持って語られ、アルバム全体に何とも言えない味わい深い雰囲気が漂っています。リリースから今年で35年が経過し、世の中の情勢や人々の考え方にも色々な変化がありましたが、これだけの年月が過ぎてもアルバムの味わい深さや魅力は色褪せることがありません。それは、ルー・リードのストーリーテリングによる卓越した表現力と、一発録りのレコーディングによってその時の緊張感や状況を生々しく捉えられたからかもしれません。
こうして『NEW YORK』は、ルー・リードの後半生のキャリアにおける金字塔的名盤となり、この流れは1996年に発表された『セット・ザ・トワイライト・リーリング』受け継がれることになります。またこのアルバム発表の同時期に制作されたスパイク・リー監督の『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)や、ポール・オースタ-原作、ウェイン・ワン監督による『スモーク』(1995)とその姉妹作『ブルー・イン・ザ・フェイス』(1995)(この映画にはルー・リードも出演)など、ニューヨークで様々な問題に直面しながらもひたむきに生きる人たちに焦点を当てた作品が次々と生まれ、同作はそうした潮流を作ったきっかけとなりました。
ちなみに、アルバムが発表された1989年に同作をひっさげたツアーが開催されていますが、何と、Warner Music Lifeのスタッフが、ツアーのハイライトとなった地元ニューヨークで開催された公演を観ているんですね!この貴重なライヴの様子はライヴレポとして改めて皆さんにお伝えしたいと思います!
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドからソロでのキャリアに至るまで、アート、カルチャー・シーンにおいて大きな影響を与えたルー・リード。ぜひこの機会にフォーエヴァー・ヤングで『NEW YORK』をチェックしてみて下さいね。
▼11月6日発売フォーエヴァー・ヤング第四弾リリース作品群
参考記事:
『NEW YORK: DELUXE EDITION』ライナーノーツ、解説
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