アッシュ【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.25】by DAILY HOWL

春ですね。平成も終わりますね。このブログも25回目です。

今回は北アイルランド出身のロック・バンド、 アッシュ(Ash)をピックアップさせて頂きました



始まりの予感。



 Free All Angels / フリー・オール・エンジェルズ


ふと見上げた青空や清涼感のある心地良い風、日差しをはね返す緑など 

だんだんと暖かくなってきてアーリーサマーな気配を感じる時、 

自分がいつも自然と聴いてしまうのがアッシュのこのアルバムからの楽曲達です。 



Ash - Burn Baby Burn


Ash - Sometimes


Ash - Walking Barefoot (Live Tokyo 2001)


Ash - Shining Light (live)


もう自分には全曲刺さります。甘酸っぱい季節の匂いがします。

この『フリー・オール・エンジェルズ』というアルバムは本当にアッシュというバンドの一瞬の輝きが、あどけない少年が大人に変わっていく時の痛みや切なさが目一杯詰まっている作品です。この前後のアルバムも、2019年の今も精力的に活動するアッシュの姿ももちろん素晴らしいのですが、2001年にリリースされたこの作品に封じ込められた冴えない青春感にいつまでたっても心を掻きむしられます。多分スピッツが好きな文学系女子にもこのアルバムとチープ・トリックの『蒼ざめたハイウェイ』の良さはわかるのではないかと思います。


このひとつ前のアルバム『ニュークリア・サウンズ』から超絶可愛い18歳のギタリスト、シャーロット・ハザレイが加入し、約10年間在籍しつつも脱退してしまうのですが、彼女がいた時代のアッシュが本当に自分にとっては最高でした。フロントマンのティム・ウィーラー、ベースのマーク・ハミルトン、ドラムスのリック・マックマーレイの男3人も彼女がいることでよりクールなバンドであろうと常に努力したのではないでしょうか。


※シャーロット・ハザレイがどのくらい可愛いのかご参考までに

Bastardo ~ Charlotte Hatherley - dir. Edgar Wright


初夏に駆け出していきたくなるような、

好きな女の子に気持ちを伝えられないでいるようなこの時期のアッシュの煌めき、 

なんとなく伝わりましたでしょうか。届いてくれたなら嬉しいです。 


さてここからは長い長い余談を


冒頭に戻りまして平成も間もなく終わるわけですが、思い返すと平成は短かったとはいえざっくりと30年くらいはあった訳で、30年前と今とではライフスタイルも大きく変化しました。一番身近なところで携帯電話ひとつを例にとってみても、NTTから一般向けに初めて誕生した肩掛けベルトがついて重さ3kgの携帯電話が1985年の出来事。1990年代の主流はまだまだポケベルで、携帯電話が一般的に使用されるようになったのは90年代も後半に入ってから。スマホが普及し始めたのは2010年代に入ってからなので、今の私たちが30年前のカルチャーを見て「なんでこんなのが当時流行ってたんだ?」と思ってしまうように、30年後の2049年に生きてる人たちが2019年の今の私たちのトレンドを見て「なんだこりゃ?」と思うだろう事は容易に予想がつきます。


もちろん音楽の聴き方や入手方法も様変わりしました。その昔蓄音機が発明されて、その後レコードが生まれ、ラジオの普及で一時は絶滅しかけるもののジュークボックスのカルチャーとともにレコード産業は復活します。さらにカセットテープの時代がやってきてソニーのポータブルカセットプレイヤー「ウォークマン」が爆発的にヒット。1982年にはCDが登場しアナログからデジタルの時代へと突入。92年にはカセットテープに代わるものとしてMDが誕生。デジタル化に伴い音楽はCD-RにコピーしたりMP3のように音声ファイルを圧縮データとしてやりとりする事が可能になりました。音楽業界に本格参入したアップルが2001年にiPodをリリース。まるでCDショップを持ち歩いているかの如く、多くの曲を持ち歩き手軽に聴けるようになりました。2007年にはiPhoneが発表され、音楽はスマホで聴く時代へシフト。2015年あたりからは大手企業がこぞってストリーミングサービスへ参入。音楽はダウンロードからストリーミングの時代へと世界的に移行しつつあります。


起きている時間のほぼ全て音楽を聴く時間にあてていたいと思うような僕にとってはサブスクのサービスはたまらなく魅力的です。毎週金曜にレコメンド画面に並ぶ新譜群は、好き嫌いに関わらず全て最低限さわりの部分だけはチェックしています。かつてに比べ今はあらゆる事がお手軽でとても便利な時代、技術の進歩とともに移り変わるライフスタイルに対して自分は肯定も否定もしませんが、発展の裏側で失われていくものもあります。


例えばレコードやカセットテープは半分まできたらひっくり返して反対面を聴かなければならなかったため、A面B面という価値観がありました。アーティストはアルバムを制作し、収録曲を並べるにあたってA面でひとつの流れ、B面でもひとつの流れを構築しました。つまり1つのアルバムに2つの構成・流れが存在していましたが、CDの時代にはこの楽しみは無くなりました。それから今は殆どの場合、音楽作品を購入する前にその作品を視聴する事が出来ます。ネットで視聴が出来たり、作品のリードトラックはYouTubeなどに発売前からMVがアップされたりしています。かつてはインターネットも普及していなかったのでアルバムを買おうにも知るすべは限られていて、音楽雑誌のお気に入りのライターさんのレビューやレコードの帯やショップのコメントを信じて一か八か買ってみるといった事が普通でした。結果、時に自分が思い描いていたものとは全然違う内容で憤慨したりもしていましたが今思えばあの頃、大切に貯めたお小遣いで買った作品をどれだけ大事に扱っていたことか。どれだけドキドキしながらこれから初めて聴こうとする音楽に集中した事か。ウォークマン以降、音楽を手軽に外に持ち歩けるライフスタイルの定着で、音楽は極めてパーソナルで細分化されたものにもなり、いわゆる誰もが知っているヒット曲が生まれづらい環境にもなってきています。曲単位での購入が可能になった配信以降の時代にはアルバムそのものの意味さえも薄れてきました。これまではアルバムはひとつの大きな物語としての意味合いがあったのですが、いつのまにかアルバムはシングル曲を寄せ集めたものでしかなくなってきています。定額聴き放題サービスも驚くほどに便利ですが、一方でそれによって音楽の聴き方がかなり雑になったように思います。テレビのチャンネルを適当にザッピングするようにちょっと気になった曲をちょっとだけ聴いてすぐに消したり、誰かの作った気の利いたプレイリストをシャッフル再生でなんとなく聴くだけで、ひとつひとつのアーティストの事については掘り下げたりせず、気にも留めない人も増えたと思います。


このように、いくら音楽が便利に入手出来るようになったとは言え、一長一短なところも少なからずあります。今回ピックアップしたアッシュも2007年発表のアルバム『トワイライト・オブ・ジ・イノセンツ』がCDという形ではラストになると公言。その後は配信を中心とした作品発表へと移行しました。2019年現在、CDをリリースしていないアーティストがグラミー賞で賞を取る事はもはや普通になりました。アカデミー賞でもストリーミング配信大手のNetflixが配給を手掛け、劇場公開が非常に限定的だった作品『ROMA/ローマ』が監督賞、外国語映画賞、撮影賞の3冠を手に入れています。


10年、20年、30年先の音楽や様々なカルチャーが新しい技術とともにどのように変化していくのか楽しみでもあり、一方で作り手側にキチンと還元されるような仕組みがその都度必要だなと感じる、とある春の夜のブログでした。


-おまけ-

「ジョジョの奇妙な冒険」から紐解く洋楽入門 


5部アニメももう半分を過ぎて折り返しましたね! 

このブログ的に言えばジョジョの奇妙な冒険 第5部は 

プリンスがキング・クリムゾンをブッ倒してギャングのボスになる話です。 


さてさて今回紹介するのはコチラ  

第4部「ダイヤモンドは砕けない」から 

本体名 音石明(おといしあきら) 

スタンド名 レッド・ホット・チリ・ペッパー 


ギターをこよなく愛する19歳。夢はウルトラ・スーパー・ギタリストになる事。ジミ・ヘンドリックス、ジェフ・ベック、エディ・ヴァン・ヘイレン、スティービー・レイ・ボーンなどを憧れや尊敬する人間として挙げている音石明。虹村形兆(にじむらけいちょう)の持つ弓と矢によりスタンド能力を引き出されたスタンド使いの一人。能力を悪用し5億円相当の窃盗をしていた事が後に発覚。外見のモデルは筋肉少女帯の大槻ケンヂ。スタンド「レッド・ホット・チリ・ペッパー」の能力は電気を操り、電気と同化する事。電気があるところならどこへでも移動可能、触れた物体を電気化し電線の中に引っ張り込むことで移動させたり感電死させることも出来るラスボスクラスの強スタンド。 調子にのりやすいが反省すると強いタイプとして作中では描かれているが、ジョジョ4部の連載時期が1992~1995年だった事から鑑みて、おそらく作者の荒木飛呂彦先生はレッチリの1989年作品『母乳 - Mother's Milk』や1991年作品『ブラッド・シュガー・セックス・マジック - Blood Sugar Sex Magik』あたりを聴いて、この時期のレッチリの強靭なファンキーさ、舐めプしても余裕で相手に勝てちゃうようなふてぶてしさとユーモア感、そして有無をも言わせぬ実力を音石明というキャラクターに投影したのではないかと考察します。また個人的には後にレッチリが2009年に放った「Around The World」のMVの冒頭部分でまるで電気エネルギーがフルチャージされたかのように始まる展開が非常に興味深くもあったり致します。


Red Hot Chili Peppers - Around The World [Official Music Video]



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