ダイナソーJR. 【F's GARDEN -Handle With Care- Vol.31】 by DAILY HOWL
これらは以下のルールに基づき私、DAILY HOWLが独断で選考致しました
・ワーナーミュージック社の豊富な洋楽旧譜カタログからの選考
・2019年7月現在も日本盤が流通している作品に限る
・アートワークにアーティスト本人が出ているものは(イラスト等も含め)あえて除外
※あくまでもアートワークそのものから発する魅力のみで判断するため
・アートワークのみを純粋な選考基準とし、作品内容については評価の対象外とする
※とはいえ脳内に作品内容が深く刷り込まれているので些か無理な話ではあります
今回は最初にこんなポイントで作品を選んでみました。
とはいえシェフの気まぐれサラダのようなもので、明日にはライドのアルバム辺りが急に1位になるかも知れませんが、一先ず現在の気分で上記のテーマに基づき選考した5枚がコチラです。
1位と5位にランクインさせて頂いたダイナソーJR.について色々とこれから説明していきたいと思いますが、その前にその他のランクイン作品にも少しだけ触れておくと、2位のイエスのモノクロかつ摩訶不思議なジャケットは昔から、本当に最初に見た時から大好きで宇宙刑事ギャバン風に言うと「魔空空間にひきずりこめ」といった趣があります。
3位はヴァン・ヘイレン。自分はこのサイトのブロガー仲間、やまやまさんのようにヴァン・ヘイレンについて詳しく語れる程の知識は持ち合わせていませんが、この絵柄はぐうの音も出ないほどの悪魔的吸引力です。4位のストーン・テンプル・パイロッツは単純に☆のマークが昔から好きで、記号であると同時に最高に完成されたデザインだと感じているので、アルバムタイトル『No.4』通り4位にランクインさせて頂きました(自分のアイコンのインスピレーション元でもあります)。
クールか否か
人は誰しもナチュラルボーン・クレイジーなハズですが、自分だけの奇妙なこだわりって誰にでもありますよね?
例えば自分の場合は自動販売機で飲み物を買う時、同じ飲み物(仮にコーラとします)が3つ並んでいたら必ず一番左のボタンを押しています。大抵の人は右利きであるため、右側のボタンが良く押されるであろうと仮定した上で、商品の回転率が上がる右側のコーラは冷えていない可能性が左に比べ高くなると感じるからです。それから私は前世が野良犬だったためか、今いる場所から別の場所へ移動した際に必ずトイレに行く習慣があります。一度マーキングをする事で「この場所はもう自分は知っている!急におなかが痛くなっても大丈夫、安心・安全だ!」と胃腸が弱くトイレが近い自分の心が安心するんです。
???…。一体おまえはさっきから何の話をしているんだよ!と言う感じですが、もう少しだけお付き合いください。私は嗜好品またはそれに近いモノを購入・所有するにあたっては、それが「クールなものか否か?」という事を非常に大事な判断基準としています。おそらく普通の人の数万倍は音楽好きである私ですが、そんな自分でも、もしモノとして作品を所有するのであれば例えそれがどんなに音楽的に素晴らしかったとしても、アートワーク部分に納得がいかないと基本的には所有しません。そのくらい自分にとってアートワークは、その作品を表現する大事な要素であり、重要なこだわりポイントになっています。
とは言うものの感性など皆、千差万別。「コレって最高にクールだな」と自分が思う作品が仮にあったとしても、それが他人の感覚においては同様にはならないのは当然。だからあくまでも自分の主観になってしまうのですが、ダイナソーJR.の今回ピックアップさせて頂いた2枚は自分にとっては最高にクールなロックのマスターピース作品に感じられます(※さらには「ダイナソーJR.」というバンド名のセンスも最高だと思っています)。
せっかくの機会なので、アルバム『グリーン・マインド』のアートワークについても調べてみました。1991年リリースのこのアルバムのジャケット写真はジョセフ・ザボ (Joseph Szabo)という人の1978年出版の写真集『Almost Grown』から採用された「プリシラ(Priscilla),1969」というタイトルの作品を使用しているとの事で、このアルバムジャケットにも写真が採用されたことにより元々評価されていたものの、より一般的にも認知される事となりました。自分はタバコは一切吸わないのですが、タバコを吸う仕草や表情には、時にとんでもないカッコ良さや浪漫が生まれる事があるのは知っています。この写真において、まだ幼い少女がタバコを手慣れた感じで咥えている情景からは色んな物語のイメージを膨らませる事が出来るし、別段そんな事を思わなくとも単純に一枚の構図として最高にカッコイイと思います。3位のヴァン・ヘイレンと1位のこの作品が図らずもタバコがモチーフになってしまいましたが、タバコにはハードボイルドな雰囲気や、不良なんだけど実はメチャクチャ強い奴みたいな、はみ出し者のカッコ良さがありますね。ただ最近は世界的に禁煙傾向になってきているので50年後くらいにはタバコを咥える仕草がカッコイイというニュアンスも変化してしまうかも知れません。でもそんな事はどうでも良くて、とりあえず自分的には今、『グリーン・マインド』こそがクールの頂点です。
もちろん『グリーン・マインド』はその音楽面においても恐竜クラスに最高です。中でもイントロ無しでいきなり始まる疾走感の塊みたいなオープニングナンバー「The Wagon」と、メロトロンのリフレインの中、J・マスシスがヨレヨレで切ないヴォーカルを聴かせる哀歌「Thumb」の2曲はロック史に刻まれる名曲。ダイナソーJR.のメジャーデビュー作となった本作ですが、アルバム通しての統一感もあり一気に聴き終わるので、もし今こんな文章を読んでいる余裕があるならすぐさま『グリーン・マインド』を聴く時間へとシフトしてください。理屈なんかどうでもよくなっちゃうぐらいの名作です。
5位にランクインさせた『ホエア・ユー・ビーン』についてはまるで「ムンクの叫び」のような強烈に不穏な空気が漂うアートワークが秀逸です。個人的には4曲目の「On The Way」がダイナソーJR.全楽曲の中でも跳び抜けて好きで、いきなりぶん殴られるような暴力的な轟音ギターにヨレた歌が普通ならミスマッチなハズなのにとんでもなく合っている、生ハムメロンみたいな不動の1曲です。また自分にとっては一番私情が入ってしまうアルバムでもあります。自分はダイナソーJR.の存在をこのアルバムから知りました。18歳の時に25歳のバツイチの女性と付き合っていた時期があって、確か19歳の誕生日の時にいくつかのプレゼントと共に「あとコレ、好きそうだから買ってきた」とか言われてこのアルバムをその人からもらいました。なんちゅーおそろしいジャケットのCD買ってくるんだよ‼という気持ちと同時に彼女のセンスがとてもクールだなと感じて、その時は単純に凄い嬉しかったです。その時もらった他のプレゼントは全てなんだったのか忘れてしまったけれど、今でもこのアルバムだけはカッコイイので大事にしています。ジャケットを見たり曲を聴いたりすると、不意に朝も夜もなくヤリまくった事だとか朝も夜もなくヤリまくった事、それから朝も夜もなくヤリまくった事とかをちょっと思い出して、懐かしくなったりします。
Cloud 9 Songs【Dinosaur Jr. 】
おまけコーナー 何かわからんがくらえッ!
「ジョジョの奇妙な冒険」から紐解く洋楽入門
5部アニメが、JOJO’s FRIDAYがもう間もなく終わってしまいますね …さみしい。
誰かジョジョロスの対処法を教えてください。
という事で今回は満を持してプリンスが元ネタになっている
「ジョジョの奇妙な冒険」第5部の主人公ジョルノ・ジョバァーナの 能力(スタンド)をご紹介させて頂きます。
ジョジョの奇妙な冒険 第5部「黄金の風」から
本体名 ジョルノ・ジョバァーナ
スタンド名 ゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)
第5部の主人公ジョルノ・ジョバァーナは第1部(及び第3部)のラスボスであったディオ・ブランドー(第3部ではDIO名義)と日本人女性との間に誕生。吸血鬼であるディオは胴体を失い、第1部主人公ジョナサン・ジョースターの肉体を乗っ取ったため、ジョルノ・ジョバァーナは代々の主人公であるジョースター家の血統も持ち合わせている事となる(吸血鬼としての身体的特徴はジョルノには受け継がれていない。何故だ?)
その能力、ゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)はなんでもありすぎて短くまとめる事が非常に難しいのだが、基本的には物質を地球上に存在する動植物に変化させる、いわば新たな生命を生み出す能力。しかしながら作者が忘れっぽいためなのか、作中で設定をどんどん変更したのか、あるいは能力が成長したと捉えるべきなのか、この能力を応用して出来る事が多すぎて、シンプルにまとめるのは不可能。あげく最終的にはこのゴールド・エクスペリエンスさえも進化させ、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムという相手の動作や意思の力を全てゼロに戻すというマジで訳の分からない無敵能力になってしまう。
原作者の荒木飛呂彦先生も一番好きなアーティストだと即答するプリンス。ゴールド・エクスペリエンスの元ネタはプリンスのアルバム『The Gold Experience』。能力名の横にわざわざ“黄金体験”という言葉を足した事からも、5部は「ジョジョの奇妙な冒険」全体の根底にもあるテーマのひとつ、“黄金の精神”を持った主人公が様々な体験を通して成長していく過程を描きたかったのではないかと想像出来る。
因みに荒木飛呂彦先生はプリンスが好きなだけあってプリンス関連の元ネタは他にも多く存在し、4部の主人公「東方仗助」と5部の主人公「ジョルノ・ジョバァーナ」の顔立ちや髪型、胸の空いたデザインのファッションなどにおいてもプリンスを想起させるものが多く、4部のハイウェイ・スター戦で主人公の仗助がバイクにまたがる構図はおそらく歴史的名盤『パープル・レイン』のジャケットへのオマージュ。3部でアブドゥルの父親のフリをしていた男(まぁ、アブドゥル自身なのですが)が餌をあげていた鶏の名前がマイケルとプリンスとライオネルだったり、現在連載中の第8部の主人公、東方定助のスタンド「ソフト&ウェット」とヒロイン広瀬康穂のスタンド「ペイズリー・パーク」も共にプリンスの楽曲名から名前を付けられている。
とまぁ、「ジョジョの奇妙な冒険」にプリンスネタは盛り沢山なのだが、この漫画を愛するうえでプリンスというアーティストが持ついびつな部分や変態性、異様だけれども一度ハマってしまうとどこまでも引き込まれていくスタイリッシュさや色香、あるいは不思議なリズムの曲構成など、「ジョジョの奇妙な冒険」を知る上での“奇妙”な世界観を改めてプリンスを聴く事で、「言葉」でなく「心」で理解して頂けたなら、荒木先生も本望なのではないだろうか。
The Gold Experience
DAILY HOWL
ただのジョン・レノン好き
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