宮治淳一のコンピ大好き Vol.4
12月27日に発売を予定しているコンピレーションCD『DJ糸居五郎 黄金のレイディオ・ヒッツ ゴー・ゴー・ゴ!』の選曲には私の深夜放送体験が色濃く反映されている。
私が中学生だった1960年代の後半、音楽の情報源はほぼラジオ、それもFM局がほとんどない時代だったから、AM(中波)の洋楽ベスト番組と深夜放送だけだった。そんな中一回聞いてすぐに好きになった曲の中にデイヴィッド・マックウィリマムスの「パーリー・スペンサーの日々(Days Of Pearly Spencer)」がある。
哀愁漂う印象的なメロディと電話のような音響効果、そしてなにより、さざ波のようなストリングス・アレンジが出色だった。マックウィリマムスは北アイルランドのベルファスト出身のシンガー・ソングライター。66年英国CBSからデビューし翌年早くもメイジャー・マイナーというユニークな名前のレーベルに移籍し最初にリリースしたシングル盤が「パーリー・スペンサーの日々」だった。
幸いヨーロッパ各国では多少評判になったものの本国英国では何も起こらず。ところが不思議なことに米国で134位まで上がる小ヒットとなる(レーベルはキャップ)。そして誰もがこの曲を忘れていた92年、元ソフト・セルのマーク・アーモンドのカヴァーが全英4位まで上昇してこの曲の知名度が一躍上がった。
当時日本ではコロムビア・レコードが直球の邦題でシングルをリリースしていた。
確かに深夜放送でよくかかってはいたものの、その後中古レコード市場でお目にかかった記憶がない。知名度ほどレコードは売れていなかったのだろう。
CDの時代になっても日本ではこの曲は製品化されず、幸い2013年に英国EMIのカタログがワーナーミュージック・グループに売却をされた際、その中にメイジャー・マイナーの原盤も入っていたおかげで今回無事収録に至った。
さて問題のストリングス・アレンジを担当したのは誰なのか? それはマイク・レンダー。
ビートルズの「シーズ・リーヴィング・ホーム」他優れたアレンジで今も名を残す英国の名プロデューサー、アレンジャー。彼は遥か数千キロも離れた極東に住む深夜放送ファンの中学生を魅了したのだった。
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