道島塾長の”VIVA! 80's” -vol.32- /ヨット・ロック(3)

道島です。

いよいよコンピレーションCD『ディス・イズ・ヨット・ロック』が発売となりました。

「ディス・イズ・ヨット・ロック」


クリストファー・クロスの来日公演も迫ってまいりましたが、このコンピレーションにはヨット・ロックの代表曲として、クリストファー・クロスの「セイリング」とロビー・デュプリーの「ふたりだけの夜」が収録されているのですが、この2人が1981年2月25日にニューヨークのラジオ・シティ・ミュージック・ホールで行われた第23回のグラミー賞で新人賞を争っていたのは、ご存知でしょうか?

その当時の二人の興味深いインタビューが、発売されたばかりの話題のヨット・ロック本「ヨット・ロック AOR、西海岸サウンド黄金時代を支えたミュージシャンたち」(グレッグ・プラト著、奥田祐士訳、DU BOOKS)に掲載されています。

クリストファー・クロス:ファースト・アルバムにはかなり手応えを感じていたし、それなりに期待もかけていた。でもワーナーがぼくに対する信頼を失わず、この先もレコードをつくらせてくれる程度の売れ行きがあれば御の字だと思っていたんだ。3枚目あたりでヒットかなにかが出るといいな、と。当時のレコード会社はそれぐらい、腰を据えてアーティストを育ててくれていたわけでね。もうとっくにそんなのは、昔話になってしまったけれど。とりあえずは5万枚ぐらい売れてほしい、そうすればもう1枚アルバムをつくら せてもらえるぐらいのことしか考えていなかったから、大ヒットになったときはもう完全に呆気にとられていた。 ワーナー・ブラザーズがぼくと契約したのは、ぼくの声があったからで、向こうはそれがラジオ向けの、ユニークな声だと考えていた。そして当初の計画では、ぼくは他人の曲をうたうことになっていた。そしたらそのレコード他ぼくの最初のアルバム4枚のプロデューサーになったマイケル・オマーティアンが、彼は社員プロデューサーだったんだけど、こいつには自作曲をレコーディングさせてやってくれ、と会社にかけ合ってくれたんだ。だからそんなこんなでぼくは、ほかのだれにも負けず劣らずあぜんとしていた。 


ロビー・デュプリー:グラミーにノミネートされる前のぼくは、長年のあいだ〝クラブ/バー・バンドの男〞をしていた。それにレコードづくりも業界とは無縁のところでやっていたから、あそこにいるとよそ者のような気がしてね。なにしろ近くの席にはマイケル・ジャクソン、クインシー・ジョーンズ、ダイアナ・ロスがいて……正直、場ちがいな気分だった。怖かったよ。誇らしくもあったけど、ぼくはもう子どもじゃなかったから、そこがどういう場所なのかもわかっていたし、とにかく観光客のような気分だった。時がたてばそういうのにも慣れて、どんな状況にも動じなくなるんだけど、そうなるまでにはとても長い時間がかかる。だからあの晩は緊張のしどおしだった。唯一、気が軽くなったのは、クリストファー・クロスが賞を総なめにするのを、すでにみんなが知っていたことで・・・ なにしろあのレコードからはもう、ヒットが山ほど出ていたからね。おかげでプレッシャーが少しやわらいだんだ、おかしな話だけど。ぼくだって賞がほしくなかったわけじゃない。でも取れなくてもべつに残念とは思わなかった 


クリストファー・クロス:全部がなんていうか、シュールだった。もうとんでもなくシュールな感じ。グラミーの会場でも、〝最優秀新人〞を取った時点ではまだ、ぼくに取れるのはせいぜいこの部門ぐらいだろうと思っていた。だから賞を受け取ったときも、うれしいですといっただけで、もうこの晩の出番は終わったつもりでいた。あの賞をもらえただけでじゅうぶんだった。で、ほかの部門でも賞を取りはじめると、なんだか幽体離脱をしているような感じになって。とても現実とは思えなかった。


結果的に、クリストファー・クロスは最優秀新人賞だけでなく、最優秀レコード賞、最優秀アルバム賞、最優秀楽曲賞の主要4部門を含む5部門で受賞しています。これは信じられないくらいすごいことです。


そんなわけで、『ディス・イズ・ヨット・ロック』を聴きながら、このような興味深いインタビュー満載のヨット・ロック本を読めば、味わいもまたひとしおです。しかも、クリストファー・クロスがもうすぐ来日します。日程は以下の通り。ゴールデン・ウィークはヨット・ロックで決まりですね。


<クリストファー・クロス 日本公演> 

5/5(日)、6(月)7(火)ビルボードライブ東京 


5/8(水)ビルボードライブ大阪 



5/10(金)けんしん郡山文化センター(郡山市民文化センター)大ホール 

5/11(土)仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール 

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